治っていたら障害手当金、治っていなければ障害厚生年金

 治っていたら障害手当金、治っていなければ障害厚生年金障害年金制度の中で、初めて医師の診療を受けた日のことを初診日といいますが、その初診日に厚生年金に加入していると、つまり会社員だと障害厚生年金を請求することができます。

初診日が主婦や学生だと国民年金に加入中なので、障害基礎年金の請求となり、1級と2級しかありません。障害厚生年金だと1・2級と少し障害状態が軽い3級と障害手当金というものがあります。

   

相談の主旨

相談者が自分の障害の程度は3級には該当しませんが、3級の下の障害手当金であれば該当すると思うので、手続きをとりたいと相談されます。

手続き上は、障害厚生年金の請求手続きを行い、治っていれば障害手当金、治っていなければ障害厚生年金3級となります。

最初から障害手当金の請求手続きというものはありません。精神関係の傷病で障害手当金が認められることはまれで、内臓疾患はありません。身体そのものに関する傷病が認められやすいようです。

   

障害認定基準

日本年金機構は、「障害認定基準」という障害状態の目安となる基準を公表しています。

3級の障害の程度は、労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとなっています。

また、「傷病が治らないもの」は、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものです。

障害手当金の場合、「傷病が治ったもの」というのが条件で、治っていれば障害手当金、治っていなければ障害厚生年金3級となります。

ここで使用している「治る」という言葉の意味は、本当に回復して以前の健康状態に戻ったという意味ではなく、医学的な治療等が必要でなくなった状態ということです。

今回紹介する再審査請求案件は、障害厚生年金の請求をしたところ、障害手当金となった為不服申し立てを行い障害厚生年金3級が認められたというものです。傷病名としてはほとんど例がない眼瞼けいれんです。

   

今回の再審査請求案件の趣旨

障害厚生年金保険法の3級を求める

   

再審査請求に至る経過

眼瞼けいれんにより障害状態にあるとして障害認定日請求(過去分が受給できるさかのぼりの請求)を行った。

障害認定日現在と現在ともに障害厚生年金3級に該当しないとの処分をした。

その後、審査請求では現在の状態は症状が固定しており、障害手当金に該当するという判断をした。

請求人は、その結果に納得がいかず再審査請求をした。

   

問題点

症状が固定していると認められるかどうかと障害の状態が等級に該当するかどうかである。

   

事実の認定および判断

受診時に眼瞼けいれんとドライアイが認められ、リボトリールの内服療法と3か月に1回のボトックス注射が施行されている。途中からやや悪化し、ボトックス注射は2か月~3か月に1回と短くなっているから、症状が固定したとは考えにくい。

眼瞼けいれんは目の開閉に関する脳の命令系統の失調が原因である。そうすると十分にコントロールできていなかったと考えるのが相当である。

「開瞼を継続できず、仕事や生活上の作業が継続できない。そのため労働や生活上の動作を行う時間は、発症前の倍近くかかっている。一方の手で片眼のまぶたを引き上げていることがある。」とされている。

このような状態は「傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものである」から、障害厚生年金3級が支給されなければならないとしました。

                   

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

            

                                             

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
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