遺族厚生年金には、受け取ることができる遺族の順位があり、配偶者、子、父母、孫、祖父母となっています。
今回は、いったんは妻に遺族厚生堀江玲子社会保険労務士事務所年金の受給権が認められ、支払われていましたが、後から請求した母親に遺族厚生年金を受け取る権利を認め、順番が覆ったという事案です。
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遺族厚生年金を受け取ることができる条件
厚生年金保険の被保険者が死亡した場合で、死亡した者について、その死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上あるもの(=適格死亡者)であるとき、その適格死亡者の遺族(適格死亡者の配偶者又は一定の要件を満たした子、父母、孫もしくは祖父母)であって、適格死亡者の死亡の当時、適格死亡者によって生計を維持した者に遺族厚生年金が支給される。
そして、一定の要件とは、父母の場合は、55歳以上であることであり、また、父母は、配偶者又は子が遺族厚生年金の受給権を取得した時は、遺族厚生年金を受けることができる遺族としないとされている。
そうして、適格死亡者によって生計を維持した者とは、適格死亡者と生計を同じくした者であって年額850万円以上の収入又は年額655万5000円以上の所得を将来にわたって有すると認められる者以外のものとされている。
事案の概要
死亡した者:A男
妻:B子(戸籍上の妻で、住民票も同じだが、居所は違う。生計維持関係ありと主張)
A男の母:C代(A男氏と同居で、生計維持関係ありと主張)
妻B子の主張内容・・・仕事の関係で居所は仕事場だが、A男も了解しており、電話・メールを毎日していた。生活費も毎月手渡し又は振込で受け取っており、経済的な援助はあった。
母親C代の主張・・・A男は母親を世帯主とする住所に母親とともに住み、母親を所得税法上の控除対象扶養親族として申告しており、生計維持関係がある。
結論
A男とB子は一度離婚その後再婚しているが、再婚時に会社に異動届を提出しておらず、配偶者「無」として提出している。妻B子を生計を一にした配偶者と認めていなかったことがうかがわれる事。
また、手渡し又は振込で生活費を受け取っていたと主張しているが、銀行の取引推移一覧表から毎月7万円から15万円の生活費の出金記録は確認できないし、主張を裏付ける客観的な資料も存在しない事。
上記のような理由により、妻B子は生計同一・生計維持した者と認められない。母親C代が亡A男の死亡当時、亡A男により生計を維持した者と認めるべきである。
これと趣旨を異にする原処分は、取り消されるべきであるとしました。
※いったんは妻に遺族厚生年金が支払われていたとしても、逆の裁決が決定すれば、妻B子には受け取った遺族厚生年金の返還義務が生じます。
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