今回は、軽度知的障害のお子さんの将来を思い、20歳になってすぐに両親が障害基礎年金の請求を行ったのですが、障害の程度が軽いということで、不支給になってしまい再請求した案件を取り上げます。
再請求開始
不支給から1年ほど経過し、両親からあきらめきれないと再請求の依頼がありました。
本人とも面談しましたが、好印象の方で私との会話も十分成り立ちます。軽度知的障害の状態は、1年ほどでそんなに変わるわけではありません。数年前から障害者雇用で勤務しており、月に10万円位の給料も受け取っています。率直に言うと2級は厳しいかなという思いを抱きました。しかし、絶対無理というわけではありませんし、知恵を絞り何とか受給に結び付けようと引き受けることにしました。
2回目の請求なので、母親から請求人の日常生活状況の聞き取りを細かく行い、主治医に診断書を作成していただく際に、プッシュできる点がないか注視しました。(主治医に、初回請求より悪化した点、又は見落とししていた障害状態を診断書に落とし込んでもらうための材料を探すという意味です)
新しい発見
すると、注目すべき点として金銭管理が全くできていないことがわかりました。
これまで何度もはまっているグッズ収集をキャッシングして購入していました。自身ではこれ以上返済が困難という頃に親に見つかり、残りを返済してもらう。しばらくするとまたキャッシングして親に見つかる、両親がキャッシングの恐ろしさを、繰り返し説明し注意しても止まらない、これの繰り返しでした。
これらのエピソードは診断書の「金銭管理と買い物」という評価欄の『助言や指導をしてもできない若しくは行わない』に該当すると主治医にお願いしました。
また、勤務先に障害者である従業員をサポートする社員さんが配置されています。日々の業務の進捗具合や本人の感想、仲間とのトラブル等が逐次ノートに記録してあり、その社員さんが事後フォローをしてくれるのです。
会社の許可と本人の了承を得て、ノートの中から請求者の問題行動と思われる個所を見せていただき、まとめたものを主治医に参考資料として渡しました。そうして、前回診断書より評価項目の平均点が低くなったものが出来上がったのです。
傷病名変更
請求傷病名も「知的障害」から「広汎性発達障害・多動性障害」に変更となりました。
『診断書の評価は、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断してください。』と記してあり、一人暮らしを想像しながら、できないことの評価をしていただくのが前提ですが、実際の障害状態とかけ離れたいい評価となっていることも多いのです。
今回は、十分なヒヤリングが功を奏して、問題点を洗い出すことができました。
結果は、障害基礎年金の2級でした。ご両親からは、私たちが先に亡くなっても、障害年金と障害者雇用の給料で何とか生きていけると喜んでいただきました。
この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。
福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
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