受給と不支給のボーダーラインについて

障害年金の中の精神の傷病に絞ってお話します。障害年金請求書類提出後、結果が出るまで3か月ほどかかるのですが、請求者は、不安でいたたまれなくなり、無料電話相談を頻繁に利用する方がいます。

提出してしまった後は、どうすることもできない為結果を待つしかありません。提出前に、診断書の内容が等級ギリギリの方(ボーダーライン上の方)は、「病歴就労状況等申立書」の作成に注意を払い、丁寧に書かれることをお勧めします。もちろん、初めてのことで要領がわからないと思いますので、具体的にご説明します。

日常生活の判定

精神の診断書裏面に『2 日常生活能力の判定』欄があります。

(1)適切な食事 (2)身辺の清潔保持 (3)金銭管理と買い物 (4)通院と服薬 (5)他人との意思伝達及び対人関係 (6)身辺の安全保持及び危機対応 (7)社会性に分かれています。

上記の7項目を、軽い程度の「できる」から一番重たい「助言や指導をしてもできないもしくは行わない」まで4段階に分かれていますが、どの段階がふさわしいか医師が評価するようになっています。

『3 日常生活能力の程度』欄もあり、(精神障害)と(知的障害)に分かれていますが、

こちらも程度の軽い「社会生活は普通にできる」から一番重たい「精神又は知的障害を認め、身の回りのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である」までの5段階を医師が評価します。

審査の際、項目のどこにしるしをつけてあるか、点数化し平均点を出します。その平均点が、各等級をおおむね表しています。この目安は、日本年金機構が『精神の障害にかかる等級判定ガイドライン』という資料で公表していますので、関心がある方はご確認ください。

         程度
平均
(5)(4)(3)(2)(1)
3.5以上1級1級又は2級 
3.0以上3.5未満1級又は2級 2級2級
2.5以上3.0未満2級★2級又は3級 
2.0以上2.5未満2級★2級又は3級 ★3級又は非該当
1.5以上2.0未満3級★3級又は非該当       

障害基礎年金で請求した方は、1級と2級しかありませんので、3級ということは非該当です。★印ところになっている方がボーダーライン上で結果が心配だと思います。

申請する場合の留意事項

ガイドライン資料の中に、参考となる項目が掲げてありますが、これから申請・作成される場合は、以下のことも参考にしてください。

①現在の病状又は状態像

引きこもりの場合は、日常生活上の制限を記す。例えば、昼夜逆転の生活。食事は何年も家族と一緒に取っていない、部屋の前に食事を乗せたトレーを置いておく。理容院は行かず、伸びたら1年に1回自分で切っている、入浴は1月に1回、受診の前のみ等。
うつ病等の精神障害の場合、5年~10年治療をしていても改善しない。(り患年数)

⓶療養状況・生活環境

家族からの援助の内容。例えば、服薬のチェック、受診の際の送迎、掃除・洗濯・入浴・季節ごとの衣服の入れ替え等。単身の場合は、単身せざるを得ない状況。福祉サービスの利用状況。

③就労状況

現に働いている場合は、単純作業か、多少熟練が必要な作業なのか、職場や上司からの理解や援助があるか、受診の際は休みが取りやすいか、職場の仲間との関係性等を記載。

④その他

発達障害の場合は、こだわりの内容・頻度・回数、感覚過敏の内容・状況等。

事後重症請求の場合は、直近1年の状況と今後1年の状態がどうなるかを審査されるため、過去の重たかった時のことを非常に詳しく書いても、あまり現在の審査に影響を与えません。具体的なエピソードを書かれたほうが、障害状態がよくわかります。

まとめ

障害年金をもらえるか否かは、診断書で決まると言っても過言ではありません。

しかし、診断書の内容がボーダーライン上の方は、「病歴就労状況等申立書」もあなどれませんので、手を抜かないでください。どうしても書けない場合はご相談ください。

  

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
無料相談もおこなっています、どうぞ申請は専門家である社労士にご相談ください。お客様のお気持ちに耳を傾け、障害年金または遺族年金が受給できるよう最大限の尽力をお約束いたします。