10年ほど前から障害年金支援ネットワークという全国組織のNPO法人で、時々障害年金無料電話相談を担当しています。
この組織の設立趣旨は、障害状態にありながらも、請求できることを知らなかった人や何らかの理由で請求手続きが困難な方のために無料でアドバイスを行い、障害年金受給のお手伝いをするというものです。
以前は、趣旨通りに初めての請求に当たり、わからないことがあって教えてもらいたい、又は、私はもらえますかという質問がほとんどでした。ところが、分析したわけではないのですが、ここ何年かすでに年金を受けている方からの質問が増加しています。
「もうすぐ更新手続きですが、引き続きもらえますか?」
「2級を受給していますが、生活費が足りないので働こうと思います。いくらの給料までであれば止められませんか?」
「更新の診断書を書いてもらいましたが、これで通りますか?」等、不安な気持ちをたくさん訴えられるのです。
診断書の内容により更新が決まりますし、決定した時とほぼ同じ内容であれば、不支給にならないのですが、受給者からの相談件数が2割強と増えてきました。
それで、今回は更新について少しでも気持ちが軽くなる情報をお伝えします。
障害年金業務統計(令和2年度決定分)というものが厚生労働省から出ていますので、一部をご紹介します。
再認定の診断書の更新期間
障害年金受給が認められても、障害状態は人により、その障害の種類により良くなったり、悪くなったりします。
ですから、更新時期というのが個別に決められ、その時期になれば自動的に診断書が送付されます。
決められた時期までに提出しなければなりません。提出しないと差し止めといって支給が止められてしまいます。
更新期間 | 1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 永久固定 | 計 |
障害基礎 | 18,293 | 18,774 | 53,691 | 1,676 | 34,607 | 9,241 | 136,282 |
障害厚生 | 13.4% | 13.8% | 39.4% | 1.2% | 25.4% | 6.8% | 100% |
※再認定の件数は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応(提出期限が延長された)により例年より大幅に減少しています。
※今年も、障害状態確認届の提出期限が令和3年3月末日から11月末日の者は、令和3年12月末日までに提出すれば支給停止となりません。
福岡県診断書種類別件数・障害基礎年金
決定数 | 継 続 | 増額改定 | 減額改定 | 支給停止 | |
精神・知的障害 | 3,605 | 3,553 | 37 | 10 | 5 |
呼吸器疾患 | 16 | 15 | 1 | 0 | 0 |
循環器疾患 | 47 | 45 | 1 | 0 | 1 |
腎疾患・肝疾患・糖尿病 | 77 | 72 | 1 | 0 | 4 |
血液・造血器疾患・その他 | 39 | 36 | 1 | 0 | 2 |
眼 | 77 | 69 | 8 | 0 | 0 |
聴覚・鼻腔機能・そしゃく ・嚥下機能・音声又は言語機能 | 123 | 112 | 8 | 3 | 0 |
肢体 | 401 | 390 | 5 | 6 | 0 |
ここには障害基礎年金しか挙げませんでしたが、障害厚生年金も似たような結果となっています。診断書を提出して支給停止となる人は5%もいないぐらいなのです。さほど心配されることはないかと思います。
ただ、安易に提出する事は禁物です。以下の項目をチェックして提出してください。
➀ 更新時期が近くなったら、主治医に前もって診断書作成の依頼をしておく。
② 「障害状態確認届」(更新の診断書)が届いたら、障害状態の前回と異なった点、特に悪化した点等は、メモして主治医に伝え、適正な診断書を作成してもらうこと。
③ 出来上がったら、記載内容に漏れがないか気を付けてみること。前回診断書写しと比べてみて、評価に納得がいかなかったら、可能であればその場で主治医に説明を求める、又は修正を求めること。
更新の結果が出るまで3か月ほどかかります。心配してもどうしようもありませんので、待つしかありません。
この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。
福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
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