これほどの事例に出会うことは今後ないと断言できるほど貴重なケースです。年金の記録は『その人の生きた時代と生き方』を映すものだと、あらためて認識した相談案件でした。若いとき仕事中に足を負傷し、旧法(昭和61年より前)の労災保険から障害補償年金と国の障害厚生年金を受給しています。長い期間(44年)働いているので、退職したら「長期加入者の特例」または「障害者の特例」という特別な年金を受け取ることができます。しかし、今後働き方をどうするかといくらの給料になるかによって受け取れる厚生年金額が異なってきます。厚生年金基金の影響もあります、あるいはハローワークから受け取れる高年齢雇用継続給付のことも考えないといけません。退職時期によっては配偶者加算である「加給年金」も該当するかもしれない。退職して基本手当(失業保険)を受け取れば受け取る年金が変わってくる。65歳以降も、どの年金を受け取るか思案のしどころです。頭をフル回転させる複雑な事例でした。ただ、社労士の存在意義を痛切に感じることができた相談案件でした。