神経症圏の傷病名で2度不支給となった事例

日本年金機構が公表している「障害認定基準」の第8節 精神の障害の中で次の一文があります。

『神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。

なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。』

ICD-10とは、WHOが作成した国際疾病分類です。その中の精神および行動の障害の一覧表では、Fの2・3・7・8で始まる番号の傷病名は、精神の障害の対象傷病なのですが、Fの4で始まる傷病名のみでは、現在のところ日本年金機構は認めていません。

F4で始まる傷病名としては次のようなものがあります。

F40 恐怖性不安障害

F41 その他の不安障害

F42 強迫性障害(強迫神経症)

F43 重度ストレスへの反応及び適応障害

F44 解離性[転換性]障害

F45 身体表現性障害

F46 その他の神経症性障害

今回紹介するのは、F44の解離性障害で、主治医に診断書を作成していただくにあたり、頑張って交渉しましたが、日本年金機構はやっぱり認めてくれなかったという事例です。

学研の『精神神経疾患ビジュアルブック』によると、①症状を説明する身体疾患がない事

②時期的に明らかにストレスとなる出来事や対人関係上の障害と関連した心理的原因が存在すること ③解離状態といわれる症状を示す事とあります。

【初回請求までの経緯】

年齢・性別:30歳代前半・女性 

請求傷病名:解離性(転換性)障害

請求方法:障害基礎年金の障害認定日請求(初回は本人請求)

診断書記載の日常生活能力の判定と程度:2枚とも判定は2.86 程度は(4)

※日本年金機構が公表している障害年金のガイドライン上では、上記の評価は2級となります。

結果:傷病名で不支給

【2回目の請求、当職へ依頼あり】

診断書記載の日常生活能力の判定と程度:初回と同じく2.86 程度(4)

診断書の内容で、『解離症状が精神病状態までの重症度を有しているものと考えられる』

『挿間性の精神病症状エピソードや、意欲低下精神運動抑制を伴う抑うつ状態を呈する状態』というような趣旨の記載があり、主治医としては、これらの言葉は「精神病の状態を示している」と同義と考えるとの回答をいただきましたが、日本年金機構は再び傷病名で不支給としました。

頑なに神経症圏の傷病名のみでは、受給権を認めない方針です。

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
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