解離性(転換性)障害2つの事例


今回は同じ病名でも支給対象とされたり、不支給とされたりとしてしまう2つの事例を紹介します。

解離性障害とは「通常は統合されている意識、記憶、同一性、周囲の知覚の喪失」を意味すると専門書にありますが、意味がよくわかりませんね。

診断するには次の3つの状態を満たす事となっています。

①症状を示す身体疾患がないこと
➁時期的に明らかにストレスとなる出来事や対人関係上の障害と関連した心理的原因が存在すること。
➂解離状態といわれる症状を示す事。

具体的なエピソードとしては、「もう一人の自分がいる」「網膜剥離になり、眼内レンズがある(手術はしていない)」、夜間に記憶がなくなり徘徊する、「死ね、死ね」という幻聴が聞こえるというようなことです。

その結果、自傷行為が頻繁にみられたり、うつになったり、引きこもったりして日常生活を営むことが困難になってきます。家族の見守り等が必要です。社会や人と関わることができない状態であることは、他の精神疾患と何ら変わりありません。

特に痛ましいのが、幼児期や子供時代に虐待を受けたり、死をまじかに見るなどの外傷体験により心理的に傷ついたまま大人になった人が非常に多いのです。

日本年金機構が公表している「障害認定基準」に次のようなことが書いてあります。

神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として認定の対象にならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。

つまり、
神経症圏の傷病、今回の場合は解離性障害ですが、頑として障害年金の受給権を認めてくれないのです。

これまで解離性障害で2級と認められた方は、常に憂鬱気分に支配されていることから、診断書にうつ状態も併存していると記載していただき、決定しました。

一方認められなかったケースは、長期間にわたり「精神病の病態を示している」と思われることから、主治医にこの一文を入れていただけないかと依頼しましたが、丁重に理由を述べたお手紙をいただきました。

『精神病状態までの重症度を有していると考えられる』『波はあるものの、幻聴体験といった挿間性の精神病症状エピソードや、意欲低下精神運動抑制を伴う抑うつ状態を呈する状態である』と述べてくださいました。
しかし、年金機構は精神病の状態を示しているとは判断してくれず、不支給となりました。

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
無料相談もおこなっています、どうぞ申請は専門家である社労士にご相談ください。お客様のお気持ちに耳を傾け、障害年金または遺族年金が受給できるよう最大限の尽力をお約束いたします。