筋委縮性側索硬化症(ALS)の障害年金事例

今回は30歳代の若くて働き盛りの男性が、原因不明で難病になったケースを取り上げます。少しでも本人が日々気持ちよく過ごせるよう、そしてゆるやかに回復するようにと家族総出で彼の世話をなさっていました。

 手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。

ただ、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経だけが障害を受けるそうです。全国で1万人弱の方がり患しており、比較的男性の方が多いようですが、原因不明です。
治療方法は、現在のところ進行を遅らせる作用のある薬(リルゾール)を服薬し、リハビリを欠かさないことが重要ということです(難病情報センターの情報)

自分の店を持つという長年の夢を実現、数年経過し経営も順調に軌道に乗り始めたころ、背中に激痛を感じるようになりました。近くの胃腸科を受診、異常なしと言われます。それでも激痛は止まない、力が入らなくなる、顧客から会話が聞き取りにくいと指摘される等の症状が強くなり始めたことから、近医の脳神経内科3か所を受診しています。
そのすべての脳神経内科で異常なしと言われているのです。しかし、あまりにも異常な症状が続くため、自分から紹介状を求め大きな病院へ3回入院、検査を受けました。ここでも確定診断には至らず、大学病院へ転院します。
ここでやっとALSとの傷病名が確定しました。しかし、原因不明で、根本的な治療方法というのは確立しておらず、症状が進行するのを遅くするだけの薬しかないという現状で、絶望的な思いだったと思います。

当職が面談したときには、すでに会話は成り立たず「意思伝達装置」を使用しておられ、指先でキーをたたいて、請求手続きの意思を確認させていただきました。痛みからベッドに横になることもできず、ソファにもたれかかっており、食事はゼリー状の物やスープのみで、体重も元気な時より20キロも減少していました。

初めて病院を受診した日(初診日)から1年6月経過後に請求手続きが可能となります。難病の場合、今回のケースのように確定診断が下りるまで何か所も病院を変わる、あるいは何年もかかってしまうというケースが非常に多いのです。

今回は、仮に異常なしとされた3か所の脳神経内科を初診日とすれば、1年半経過しておらず、請求手続きができないのです。しかし、請求者の状態は急速に悪化し、すでに1級相当と言ってもおかしくないような状態でした。
一刻も早く進めなければなりません。それで、当初受診した胃腸科にこれまでの経緯を記した依頼文書とともに、初診日の証明書の作成をお願いしました。ここが初診日と認められれば、1年半経過しているのです。

「受診状況等証明書」の傷病名は「背部痛」と記してありましたが、ALSの診断書の内容には、『初期症状の背部痛は痙縮による影響』とあり、背部痛とALSの因果関係が証明された診断書となっていました。「よし、これで大丈夫」と思い提出しました。結果、障害基礎年金1級が認められたのです。

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
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