
今回は、傷病手当金が不支給になり、再審査請求に至った案件をご紹介します。
傷病手当金の申請は年々増加しており、各企業の健康保険組合や全国健康保険協会にとって財政的な負担が課題となっています。
申請される傷病の種類としては1位「精神および行動の障害」(躁うつ病、統合失調症、知的障害等)が全体の3割強で、2位が新生物(ガン)です。3位が令和3年度の統計ではコロナとなっています。

傷病手当金とは
病気休業中に被保険者が業務外の病気やケガの療養のために仕事に就くことができず、給料が受けられない時に、申請により支給を受けることができる制度です。
【申請期限】
労務不能(仕事ができなかった)日ごとに、その翌日から2年以内
【受給可能期間】
同じ原因の傷病について、支給を開始した日から通算して1年6か月間
【支給額】
直近1年間の標準報酬月額の平均額の30分の1×3分の2×支給日数
標準報酬月額の平均が17万円であれば、1日当たり3,780円です
健康保険の財政状況もが厳しいことから、できるだけ支出を抑えたいという保険者側の主張も見え隠れする事例となっています。
経 緯
30歳代女性会社員、婚姻歴有
傷病手当金1回目申請 H30年位 傷病名 うつ病 原因:不明
2回目申請 R2年9月から1年半近く受給 傷病名 PTSD
原因:元配偶者からのDV
3回目申請 R5年6月から 傷病名 適応障害 原因:不明
不支給となり審査請求から再審査請求となる
不支給の理由は、『これまでの傷病名が複数あるが、関連のある傷病は同じ疾病とみなす』
よって、1年半の期間は終了している為、不支給とされた。
請求人の反論
平成30年からずっと同じ主治医に診てもらっており、2回目のDVによるPTSDと3回目の適応障害は別傷病であるとの主治医の意見書を提出している。
保険者側(健康保険組合の事務担当者)からの発言
2回目支払いの時、理事が元配偶者からのDVではかわいそうだからと認めて支払ったが、3回目は同じ傷病と理解し、認めなかった。
参与からの発言
数人の参与から失笑ともとれる苦笑いがあり、「法令や組合の規約に載っとり判断するべきであり、かわいそうだからというような同情論で支給・不支給を決めているのですか?」
(同一傷病か否か)「主治医に確認したり、レセプトを取り寄せ検討したのですか?」
一連のやり取りのあと3人の参与からは、別傷病として容認すべきとの意見が出されました。
この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

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