今回は、コロナにより2~3年の間傍聴が中止されていましたが、7月11日日比谷フオートタワーにてひさしぶりに出席できたので、社会保険審査会傍聴の流れや雰囲気の一端をお伝えします。
不服申立制度について
最初に不服申立制度について少しご説明します。
日本年金機構へ老齢や遺族、障害年金の請求を行い、認められなかった場合は審査請求といって、地方厚生局へ不服申し立てができるようになっています。
ここでの審査は1名の社会保険審査官が担当します。請求者から提出された『趣旨及び理由』が述べられた審査請求書や保険者(日本年金機構)から提出された意見書についての書面審査の場となっています。そこでも、認められなかった場合は、厚生労働省へ再審査請求が可能です。
再審査請求の場まで上がってくる大半の事案が障害年金です。両者の争いの元を争点と言いますが、初診日や等級、相当因果関係を争点とするものが数多くあります。具体的な事案に触れるのは、次回以降にご紹介します。
傍聴までの流れ
傍聴までの流れと当日の雰囲気をお伝えします。
- 開催日の1月前位に、社会保険審査調整室に電話で傍聴申込書の依頼をします。
- 傍聴申込書をFAXで送り返すと、後日郵送で公開審理の説明書や入館証であるQRコードが送られてきます。
- 会場は、5~6年前に行った古めかしい厚生労働省内ではなく、近くの日比谷フォートタワーという新しくてきれいなオフィスビルに移っていました。
- 一般の方は入れないセキュリティーゲートを通り、13時前までに会場内に着くように指示されていたので、余裕をもって入ろうとしたら、ゲートが開きません!受付で尋ねたら、なんと指定時間の1分前12時29分だったので、ゲートが開かなかったのです!厳重でした。
- 公開審理は合議制です。さほど広くない会場に、国側の高齢の医師、年金局事務官2名(一人は責任者と思われる60歳代の方で、一人はまだ30歳代と思われる若い方)はすでに着席していました。
- 参与という意見を述べる委員が8名ほどで、すでに雑談をしている方もいましたが、続々と入って来られます。顔に見覚えのある参与も数名いました。第1部の審査会は、残念ながら女性は一人もいませんでした。
- 開催時刻になり、第1部の審査長、法令担当委員、医療担当委員計3名が着席し、審理開始です。後半の第2部では、審査長以下委員3名はすべて女性でした。
- 事前に、事件プリントという当日審議する案件(約15件から20件ほどの再審査請求書)が参与に配布されて個別に検討されています。ですから、実際はすでに勝負という言葉がふさわしいかどうかわかりませんが、勝ち負けは9割方決定しています。
- この場では、次のことが粛々と行われるだけです。
◎委員長による出席者についての説明
◎再審査請求の趣旨及び理由の確認
◎保険者意見の確認
◎社会保険審査会委員(参与)から保険者・請求人への質問
◎請求人・利害関係人又は代理人の意見陳述
1件当たりの時間は、平均1~2分です。請求人が出席すれば、多少の質問ややり取りがありますので10分~15分かかることもあります。
実際、7件まで終了したところで6番目に出席することになっていた代理人である社会保険労務士が到着したということで、再度審理のやり直しが行われました。(この社労士は指定時間に間に合っていたのに審理のスピードが速かったのです。)
ほぼ同じ質問が繰り返される等、茶番劇のようなことも発生しました。
- 保険者側の年金事務局員のアラも目につきました。参与や請求人の質問に明確に答えられずに、医師が代わりに返答することも何度かあり、準備不足を伺わせるものでした。
感じたこと
当然ですが、結論を覆すには反論すべき確かな根拠・証拠固めが一番重要!
うつ病3級に決定された等級に不服で、2級を求める為に遠方からご夫婦で出席しています。
しきりに自分の状態は、機構が定めた『障害認定基準』の2級相当であり、5~6回休職しているので、この9月で解雇になる。何回休職すれば2級なのか答えてくださいと力説してありましたが、本人の主張のみでは弱すぎます。
「うつ病で2級相当の障害状態の方は、審査会の場に出席できないし、無理だな」と私が感じたことを、審理終了後、参与も同じことをつぶやいておられました。
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