2023障害年金事例(神経膠腫)

今回は神経膠腫(しんけいこうしゅ)という脳腫瘍の方(Aさん)の障害基礎年金2級の事例を取り上げます。プライバシー保護のために特定できないように一部変更しております。

神経膠腫とは

脳腫瘍と言っても100種類以上あるそうですが、良性と悪性に分けられます。良性のものは主に脳の外側に発生し、脳を傷つけずに腫瘍そのものを取り除くことができ、治癒も可能だそうです。悪性のものは、脳の中に腫瘍ができるため完全に取り除くことは困難なようで、再発もしやすいということです。

「標準治療」という初期治療は、後遺障害を出さない範囲でできるだけ多くの腫瘍を摘出し、直後から放射線治療と化学療法が行われます。

一方、残っていた腫瘍が大きくなっていたり、再発した場合の進行している悪性神経膠腫に対する治療はまだ確立した標準治療がないそうです。

発症からの生存期間中央値は、2.5年、5年生存率が20%で、治療の先に希望が見えない数字となっています。(東京大学医科学研究所のHPより抜粋)

申請手続き

障害基礎年金の手続き依頼を受けたのは配偶者からで、A子さん30歳代後半の時です。母親が病気になっていることもほとんどわからず、まとわりついている3歳のお子さんがいました。

会社員の妻なので、加入は国民年金です。ですから請求できるのは障害基礎年金となります。

障害基礎年金には1級と2級しかなく、2級を目指すことになります。頭痛がするとはじめて病院へ行った日(初診日)から3年ほど経過していましたので、徐々に障害状態が重たくなったという意味の『事後重症請求』を行うことにしました。

受給決定まで

回頭手術を2度、放射線治療を数回受けています。本人も家族もどんなに苦しかった日々かと察します。

めまい、吐き気、麻痺、失語、頭痛等の症状はどんどんひどくなり、記憶力の低下、判断力も相当衰えています。もちろん子供の世話等できず、配偶者はじめ祖父母たちがフォローしています。

具体的な日常生活の中の状態は、携帯電話が使えない、突然何をしていたか忘れてしまう、お金の意味が分からないので使うことができない、受診の際、どの洋服を着ればいいか決められない、日中子供が保育園に行っている間はぼーっとソファに座ったまま動かず、もちろんガスとか危険で使えません。

A子さんの病状がいつ急変するかわからない切羽詰まった状況なので、早急に手続きを行わなければならない案件でした。

相談を受けて書類提出まで約2月、決定まで3か月かかります。

私の想い

母親は、家族、特に小さい子供にとってなくてはならない存在ですので、配偶者は、万が一誤診ということはないだろうかと、セカンドオピニオン、サードオピニオンまでやっています。

結局、傷病名は変わりませんでした。 決定が2級となり、子供の加算も付きました。彼女が子供の成長とともに末永くいっしょに暮らすことを祈っています。

   

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
無料相談もおこなっています、どうぞ申請は専門家である社労士にご相談ください。お客様のお気持ちに耳を傾け、障害年金または遺族年金が受給できるよう最大限の尽力をお約束いたします。