公的年金制度の意義と役割2

前回は『公的年金制度はリスクに備えた「保険」の仕組み』という元厚生労働省年金局長の高橋俊之さんの記事を抜粋してご紹介しました。

引き続き硬い話になりますが、『社会的扶養の仕組み』と『公的年金の所得再分配機能の仕組み』という記事の一部をご紹介します。

( )内は私の感想、又は独り言です。

賦課方式を基本とした財政方式のメリット

現在の年金制度は、現役世代が納めた保険料をその時々の高齢者等の年金給付に充てる賦課方式という財政方式が取られています。つまり、私たちが支払っている厚生年金保険料は、将来の自分の年金にはならないのです。

この賦課方式に対して、民間の個人年金のように、自分が将来受け取る年金について、あらかじめ保険料を積み立てておく方式を積み立て方式といいます。

賦課方式の利点は、インフレや賃金水準の上昇に対して、支払う年金額の調整を行うことが可能となり、実質的な価値を維持した年金を支払うことができるという利点があります。

(理解することが難しいのですが、個人で積み立てたものでは、数十年後の物価や経済変動の変化に対応できないということのようです)

私的扶養から社会的扶養へ、扶養の負担の均等化

年金がまだなかった時代は、高齢となった親の扶養は、家族内で面倒を見る「私的扶養」が中心でした。

しかし、核家族化が進み、家族内だけで面倒を見ることが困難となり、「社会的扶養」が必要となってきました。

年金制度がそれを可能にしている側面があります。

(3世代同居が当たり前だった時代は、高齢の親に収入がなくても家を継いだ子供世代が支えていたわけです。現在では、高齢者は十分とはいえませんが、子供に頼らずとも公的年金で自分たちの生活を支えることができています。)

2階建て構造による所得再分配機能

厚生年金の保険料は、賃金(給料)の一定割合(18.3%)で、負担能力に比例しています。上限はありますが、賃金が2倍になれば、保険料も2倍です。

それに対して受け取るときの年金額は、定額(払った月数で計算する部分)の基礎年金と、賃金に比例した厚生年金の2階建て構造で受け取れます。
こういう構造なので、仮に賃金が国が設定しているモデル年金の人の半分であっても、受け取れる年金額は、モデル年金の8割を受け取ることができるようになっています。このように公的年金は所得再配分機能があるのです。

(実感として、高い給料の方は厚生年金保険料も非常に高いです。ですが、受け取るときの年金額は、高い給料だった方と安い給料だった方と比較して、さほど差がついていると思われないのは、このような理由だったのですね。)

基礎年金の2分の1国庫負担を通じた所得再配分機能と給付水準の向上

公的年金制度には、基礎年金の2分の1の国庫負担(税金で賄われている事)が入っており、税負担は所得が大きい人ほど大きいですから、税を通じた所得再分配機能も組み込まれていることになります。

(若い方で、国民年金保険料を払わず又は払えず、「未納」となっている方がたくさんいます。見方を変えれば、将来老齢基礎年金を受け取るときに、みすみす税金で支払われる半分の基礎年金の受け取りを拒否していることになるわけで、実に惜しいことだと思います。)

以上のような、かなり難しいことを取り上げました。少しでも年金制度の理解につながり、将来の参考にしていただければと思います。

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
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