社会保険審査会の裁決事例(4)

今回は障害年金の裁決例を紹介します。

事案の概要

A介さんは統合失調症により、10年以上前から障害基礎年金2級(月に約65,000円)を受給していました。障害年金の受給者は、通常1年から5年の間で「障害状態確認届」という更新の診断書を提出する事になっています。

この提出の間隔は、傷病の種類や年齢により保険者である日本年金機構が決定します。

提出した診断書は、再度審査され、等級が上がる人、同じ人、下がる人と様々です。

仮に支給停止となれば、治療費・生活費がなくなるに等しい事ですから大問題です。

A介さんの場合、この更新期間は、初回2年、次に3年、その次が5年でした。

今回問題となった「障害状態確認届」も前回に引き続き5年後だったので、これに従い提出したのです。

ところが、事務ミス発生

ところが、この5年後というのが内部の事務ミスで、実際は3年が正しかったのです。

内部の事務ミスにもかかわらず、過去5年の間の診断書を2枚追加で提出させ、

障害状態が改善しているとして、2年前にさかのぼり支給停止とし、支払った2年分の障害年金(約158万円)の返還を求めてきたのです。

裁決書にあった送付された文面をそのままのせます。

「ご提出いただいた障害状態確認届の審査におきまして、前回平成〇年時の審査結果を確認しましたところ、本来であれば、平成〇年〇月に障害の状態を確認したうえで、審査を行わなければなりませんでした。つきましては、大変お手数をおかけして申し訳ございませんが、今回ご提出いただいております障害状態確認届に加えて、平成〇年〇月及び平成〇年〇月時点の障害の状態がわかる診断書のご提出をお願いいたします。この度は当所の手違いにより、ご迷惑をお掛け致しますことを心よりお詫び申し上げます。」

結論

裁決書の内容にある言葉を断片的ですが取り上げます。

被保険者の側に責に帰すべき事由がなく、一方、保険者の側には注意義務違反やこれに準ずるような帰責時由があり・・・

自らの誤りを糊塗しようとする保険者の対応は、きわめて遺憾といわざるを得ない・・・

行政事務の分野においても適用されると解される信義則の法理に照らして、到底是認することはできないと言わざるを得ない。

本件において、保険者は、自らの過誤を取り繕うために体裁を整えることを優先し、その結果請求人に及ぼすであろう影響や、その心情に思いを致すことなく原処分を行い、しかも、請求人から不服が申し立てられた後も、これを改めなかったものであって、厳しく非難されなければならないと考える。

よって、原処分は相当ではないので、これを取り消すこととする。

何が問題かというと

何が問題かというと、こういった文章を何の呵責もなく出してしまう。

又は出さざるを得ない組織全体の在り方に問題があると感じています。

この記事は、リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

    

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
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