傷病手当金と年金の話

 病気やけがで働けず会社から給料が出なかった場合に、健康保険の制度から傷病手当金を受け取った方がいるのではないでしょうか。

令和元年度協会けんぽが出したデータ

令和元年度協会けんぽが出したデータによると、次のような傷病順になります。

  • 精神および行動の障害 31.3%・・・うつ病や適応障害、双極性障害等です。
  • 新生物18.63%・・・がん等
  • 筋骨格系・結合組織の疾患10.89%・・・上肢・下肢の障害や人工関節等
  • 循環器系の疾患10.05%・・・心臓関連(ペースメーカーや人工弁)

平成30年度に傷病手当金が支払われた件数は、共済組合等すべて含めて全国で約200万件、金額は約3900億円になり、健康保険財政の圧迫要因ともなっています。

年金受給状況を確認

傷病手当金を受け取る人が障害年金や老齢年金を受け取る際には、年金が優先支給されます。つまり、傷病手当金を月に10万円受け取りました。後から老齢年金が月4万円支払われました。そうすると協会けんぽから重複した期間分のみですが月4万円の返還請求が来るのです。年金を受給しているという情報は、本人の申告もありますが、健保協会と日本年金機構が協定を結び、月に1度情報交換をして得ています。

令和元年10月からはマイナンバー情報連携により、本人からの申告がなくても年金受給状況を確認できるようになりました。

共済組合と健保協会との傷病手当金の期間の差

次に共済組合と健保協会との傷病手当金の期間の差についてお話します。健康保険の傷病手当金は、支給開始から起算して1年6か月を超えない期間支給する仕組みとなっています。1年6か月経過後は、同一の疾病等を理由として支給されません。ただ、別の疾病では支給されます。一方、共済組合の傷病手当金は、支給期間を通算して1年6か月を経過する時点までは支給される仕組みとなっており、この官民格差も問題となっていて今後議論される予定です。

傷病手当金に関する裁決例

最後に社会保険審査会が出した傷病手当金に関する裁決例を紹介します。

【事案の概要】

「うつ病」「双極性感情障害」「抑うつ神経症」「心身症」「身体表現性障害」など、その時期により、受診した医療機関で、違った傷病名として、治療を受け傷病手当金を1年半以上にわたり受給していた。別傷病かどうかが争われた事案です。

社会保険審査会は、『社会保険の運用上、過去の傷病が治癒した後再び悪化した場合は、再発として過去の傷病とは別傷病として取り扱い、治癒が認められない場合は、過去の傷病と同傷病が継続しているものとして取り扱われるところ、医学的には治癒していないと認められる場合であっても、軽快と再度の悪化との間にいわゆる「社会的治癒」があったと認められる場合には、再発として取り扱われるとされている。そして、いわゆる「社会的治癒」と認め得る状態としては、相当の期間にわたって医療(予防的医療を除く)を行う必要がなくなり、通常の勤務に服していたことが認められる状態である。』と述べています。

上記の“それぞれの傷病名は、因果関係のある同一関連傷病と認めるのが相当”と結論付けていることになります。

リスク法務実務研究会のホームページ(http://riskhoumu.com)に「人生いろいろ年金もコロコロ」として投稿させていただいております年金受給に関する事例です。

はじめまして

福岡県障がい・遺族年金相談室のホームページにお越しいただきありがとうございます。所長の社会保険労務士、堀江玲子と申します。平成16年に開業し今日まで17年間障害年金および遺族年金をメイン業務として続けています。相談を受けたお客様は1万人を超えます。
障害年金は『初回が勝負』と言っても過言ではありません。
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